セミとアリとキリギリス

35℃を超えるような猛暑が相変わらず続いている。それでも日暮れの早さや時折り吹く涼しい風から、秋の気配を感じる時もある。そういえば、耳が痛かったほどのセミの鳴き声も、若干パワーダウンした様子だ。

 

ところで有名なイソップ寓話「アリとキリギリス」の「キリギリス」が、もともと「セミ」だったことをご存知だろうか。ヨーロッパでは、寓話が生まれたギリシアからイタリアにかけての一部の地方しか、セミは存在しなかったようだ(今も)。

 

それ以外の地方の翻訳者らは、ラテン語原本の‘cicada(セミ)'を見て、さぞや考え込んだことだろう。楽しげに1シーズン鳴き暮らすこの虫の正体とは一体なんだ、と。悩んだあげく、中世の訳本では、イギリスではcricket(コオロギ)となり、フランスではcicadeと正しく引用しつつも、なぜかバッタの挿絵が添えられているらしい。かくしててセミはキリギリスに変容した模様である。

 

ちなみに、どう考えてもセミが生息しそうに無いロシアでは、一時「トンボ」になっていたようだ。今は無事「バッタ(Кузнечик)」に原点回帰している。

 

8/26追記* おお、大間違い!

 

「・・・イソップ寓話「アリとキリギリス」の「キリギリス」が、もともと「セミ」だったことをご存知だろうか。」とすべきところを、8/25までは

「・・・イソップ寓話「アリとキリギリス」の「アリ」が、もともと「セミ」だったことをご存知だろうか。」と全く逆に書いていました。

この部分を訂正するとともに、タイトルも「セミとキリギリス」から「セミとアリとキリギリス」と変えています。ご指摘ありがとうございました。