まっこと、約1カ月ぶりのブログである。10月は仕事がヒマだからいろんな仕掛けができると喜んでいたのだが…その後雑務の嵐に押し流されてしまった。自分の手際の悪さを呪うばかりである。
さて、ややくつろぎモードの本日、2014年10月30日付の日経ビジネス「記者の目」を見て、飲みかけたウーロン茶を吹いてしまうところだった。「2016年卒は売り手市場?『トンガリ学生』探しに企業は躍起」のことだ。勝手に人の仕事量増やすな、と文句を言いたい。
内容をみると、「とんがった」採用例として三幸成果の「おせんべい採用」のことなどを取り上げている。昨年はせんべいのことだけをエントリーシート(ES)に書かせて選考、その後、ESを元にしたプレゼンで合否を決めた(気になる方はここを参照。今年はどうするんだ?)
「この手の採用をぜひウチもやってみたい」との企業側の声もちらほら聞いたが、「やめとけ」とアドバイスした。なぜか。単なるウケ狙いESが殺到、手間がかかって結局いい学生が見えなくなる。「とんがった」じゃなくて、単に「いびつな」勘違いESを大量に読むこちらは、大変な苦労をさせられる。
組織にとって「いい学生(人材)」とは何か。それは与えられた仕事内容を正しく理解し、熱意と粘りをもってそれを達成することだ。ところが、学生に限らず「正しく理解できる人」という初期段階がクリアできない人は多い。
例えば、「他人に誇れるような出来事を一つ取り上げ、自己PRしてください」のところで、どうみてもそれに該当しない「自動車の普通免許を苦労して取得」「バイト先の店長から褒められた」などありきたりの話を前面に押し出す。まずこのネタレベルで3割程度が落選。さらに自己PRというゴール地点にたどり着く前に、出来事の説明だけで字数が尽きている。その時点でほぼ4割がアウト。
ということで採用する側からいえば、ここまでで10割ー7割で約3割までの人材の絞り込みが可能、というのが添削歴15年以上の私の経験値だ。ESがまだ採用ツールとして有用なのはまさにこの点にある。ESの内容そのものよりも、相手から投げかけられた質問への理解力の有無に焦点が当たっているわけだ。
ちなみに記事タイトル「2016年卒は売り手市場?」は理系に限って言えば「?」をとってもよい状態だと思う。ただし文系は相変わらず厳しい。じゃあ、どうすれば?は以降に続くとしよう。待てない人はサイト内の「タハラ博士の添削道場 自己PR編」「タハラ博士の添削道場 志望動機編」を先に見てくれたまえ。