新・論理力養成ギプス講座4-1

まやかしの比較

アッコ:「ああ、なんてこと。左門さんの故郷の熊本県がこんな大地震にあうなんて」
一徹:「本当じゃのう。あの堅固な熊本城すら哀しい姿をさらしておる」
アッコ:「まあ、テレビのトップニュースで言っているわ。『熊本地震、農業水産被害額1千億円超。…阪神上回る』」
一徹:「ふん。くだらん」
 アッコ:「ひどいわ、お父さん。こんどというこんどは愛想がつきました!」

一徹:「あわてるな、アッコよ。被害がばかばかしいと言ってるのではない。くだらんのは比較すべき対象よ」

アッコ:「どういうことなの?」
一徹:「熊本地震での被害と、阪神大震災のそれとを比較しても意味がないということじゃ」
アッコ:「でも、この新聞にも載っていてよ。「県内での農林水産関係の被害額としては、これまでの最大となり、1995年の阪神大震災での被害額(900億円)も上回った」と」
一徹:「熊本県での過去の被害額と比較するなら意味があろう。しかし、阪神大震災と比較する理由は何かの?」
アッコ:「それは被害の範囲が似ているからではないかしら?阪神大震災は直下型地震で、震度7だった兵庫県南部を中心に、大阪府の一部が被災地域だったはずよ。熊本地震も同じで、震源地熊本県益城町をはじめ県の全域と、大分県の一部に大きな被害が出ているわ」
一徹:「では聞くが、なんで農業水産被害額なのかの?」
アッコ:「それは地方都市だから、じゃないかしら」
一徹:「ふん、哀れむべきよのう、中卒は」
アッコ:「お父さん、なんてことを…(今だったら放送禁止用語よ!)」