新卒採用あれこれ2

入社年別でカラーがカテゴライズできる秘密は、新卒一括採用という日本企業独特の採用システムにある。一括採用した人員を終身雇用を前提として「正社員」と名付け、新入社員研修から技術研修、階層別研修まで教育を施す。世界レベルで見ると、相当レアものである。

 

業種にもよるが、伝統的に新入社員のプロファイリングは「日本人」が圧倒的なマジョリティで、管理職層では、「日本人」「男性」が8割以上だ。いわば特権階級である。これは国や自治体、大学でも同じである。

 

某国立大某学部では、とある女性教授の転出に伴い、あわてて他大学から女性の教授を借り受け、ダイバーシティの面目を保ったらしい。もちろん企業ではそんな自主規制もない(努力目標はあるが)。経営層が集う会議はオッサンランド、女性は居るか居ない程度に点在する風景が通例であろう。

 

各職場は、特権階級を頂点としたヒエラルキーが基本形だ。例えば10名の職場では、管理職をトップに、3・4人が正社員、残りはパートと派遣。2000年頃からの労働派遣法の緩和以来、多くの職場はこのような構成に落ち着いているのではないだろうか。体系的な社内教育を受けているのは新卒採用の社員のみ。そして正社員と派遣の平均給与の格差は1.5倍(厚労省2015年度調べ)、同じモチベーションは期待できない。しかも、私見を言えば、パートや若手派遣が職場を支え、ベテラン正社員が「お局化(男性でも)」して足を引っ張る。

 

よって今の管理職の仕事は、こうした立場やスキル、ヤル気がバラバラな集団のコミュニケーションを整え、ベクトルをそろえることから始まる。 こうした異質な要素からなる集団を扱うには相当なマネジメントスキルが求められる。しかし、そうしたスキルを内在している人はまれだ。当然うまくいかないことがほとんどである。

 

ところが、昭和な上級管理職は、こうした異質な集団のマネジメントに苦しむ中間管理職が理解できない。彼らの時代では新卒一括採用による、同質な群れを育成することが前提であったからだ。「何をモタついているんだ!」。前門のオオカミ、後門のトラ、中間管理職にウツが増えるのも無理はない。

 

お、長くなってきたのでこの辺でペンを置く。次回に続けようか、どうしようかな。