ヒギンズ教授風『ボヘミアン・ラブソティ』鑑賞法

やっと映画『ボヘミアン・ラプソディ』を見に行けた。

 

全編に流れる音楽を聴きつつ、気づいたことがある。長年の間、他のロックグループに比べて、クイーンの歌は耳から聞いて格段にわかりやすいことを、不思議に思っていた。その疑問が氷解した。

 

それはたぶん、フレディが移民の子だからだ。言語学者が、花売り娘のイライザを、ハンガリーの王女と間違えたのと同じ理由である。

 

出身はアフリカの孤島ザンジバル、両親はインドなまりのゾロアスター教徒、ロックスターとしては隠したい出自だったろう。中産階級の英語を母語とする他のメンバー3人とは大きく違っている。

 

名を変え、しゃべり方を変え、マイフェア・レディとして生まれ変わった、ペルシア系インド人の子孫フレディ・マーキュリー。セクシャル・マイノリティについてのみ語られがちだが、民族のマイノリティにも注目されたい。

 

この映画を見た数日後、日本では入管法改定案が衆議院を通過した。来日し定住する外国人の暮らしをどうデザインしていくか。その議論も尽くされないまま国が開かれようとしている。子どもたちに「フレディ=先住民と同化すること」を強いるような国は困るんだが。