某人気占い師の文章力

最近、やたら表示されるターゲット広告は「占い」である。年末に『マクベス』について調べ物をしたことが祟ったらしい。(「今年こそ恋愛、結婚を成功させる!」などと今も表示されているので、既婚者であることは見抜かれていないようである)

 

私は、ふだん占いに関心を向けることはほとんどない。オカルトブームのさなかに育ったせいか、星占いからタロット占い、易経までひととおり調べ、子ども時代で早くも興味が尽きてしまったのだ。

 

が、そこは広告の威力。ひんぱんに表示される、女性向けWeb雑誌の人気占いコーナーが妙に気になり、サイトをちょこっとのぞいてみた。この占い師が、ウケる理由がよくわかった。2重の意味で文章がうまいのだ。

 

1つめのうまさは、あいまいさである。かつ「こんなことがあなたに起こるかも」という結果提示型を避けている。

 

その代わり「あなたの現状は、こうじゃないですか?」と、問いかけからからスタートする。そののち、読み手(に起こりがち)の心情に沿いながら、「そんな状態だと、このようになりますよね」と、今後をシュミレーションしながら、対処法をやんわりと提案していく。つまり、自分の書いたシナリオに、読み手をプロセス巧みに誘導しているのだ。

 

もうひとつは、励ましとポジティブな文言に満ち満ちていることだ。「~しなければ~しないだろう」といった、ベテラン占い師(例えば細**子氏)によくみられるような否定語が、極端に少ない。

 

もともと、占い(予言)の本質は、脅すことにある。キリスト教や仏教の終末思想も、その一種で、「悪いことすると地獄に落ちるぞ」だ。しかし、人間、脅されるだけではやってられない。そこに派生したのが、マリア様やお地蔵様など、ご本尊のワキを固める方々からの癒しである。宗教は、こうやってアメとムチとで人間を正しい道に導く。

 

癒しながら道を示す?WEB占い師は、さしずめ現代のマリア様・お地蔵様役なのか。となれば、人々をムチ打つ万能の神は誰だろう。ひょっとして「AI」か?