お前はもう死んでいる

 自宅のエレベータが故障した(ささやかなホームエレベータである)。

 

高齢ながら閉じ込められた家人は自力で脱出。「突然停まったぞ!」とメンテナンス契約をしているメーカー某社のコールセンターに怒りの一報を入れた。噛み合わない会話でたらいまわしにされた(らしい)挙句、やっと一週間後に点検員がやってきた。機械室で何やらガタガタすると、ようやく動き出した。

 

どこが悪かった、という質問に「あ、機械が古いので」。ろくろく説明もせずに新品エレベータのカタログを置いて帰ってしまった。その2週間後、案の定またエレベータが停止。今度は違う点検員が来て言うことには、機械部品の交換が必要だという。部品の有無を調べて、1週間以内に折り返し連絡するとのことだった。

 

待つこと10日、家人が、しびれを切らして点検員が置いていった名刺に電話すると「部品がありましたので、先日その旨を書いた郵便を送付しましたが」と言う。ソバ屋の出前である。いい加減にしろ、こちらのアドレスを教えるからメールで送れといったとき、先方はこう返答したらしい。

 

「当社では、メールでのやりとりはしておりません。FAXでのやりとりならできますが」

 

「今どきFAXだけとな!」昭和ひとケタの家人が電話口で驚愕した。下請け会社とはいえ、日本を代表する企業の看板を掲げる窓口が・・・。相手は、はい、当社はこれで大丈夫です、と答えたという。

 

さすが、経団連会長が、執務室にPCを持ち込んだだけで話題になる国のことはある。現会長よりひと回り以上年長の家人は「モノ作りでもサービスでも、もうこの国は終った」と嘆いている。