弱き者よ、汝の名は女なり

 

昔々、バブル期の少し前のころ。、日本にのある保険会社に、タハラというKYな女子がおったそうな。適当に就職して適当に働いておったが、ある時、人事部から声をかけられた。

 

「お上からのお達しにより、ウチの社も『女性総合職』を創ることとなった。キミ、なってみるか?」。聞くと、仕事内容は変わらず、当時の一般職の給料とボーナスからは大幅アップ。転勤はタテマエとしてあるが、まま、それは配慮しないこともないので、ということだった。タハラは二つ返事で引き受けた。一応、試験と面接はあったが、ゲタをはかせてもらったのか、めでたくパス。総合職に転換した。

 

「転換制度導入後、初の女性総合職」―会社から、やれ女子学生向け採用セミナーで話をしてくれ、やれ宣伝TVに顔出ししろなどという声がかかる。ところが、タハラの仕事はいわゆる決算公告であったので、繁忙期が当時の採用のピークともろに重なった。でもほかに対応できる立場の人材がほぼいない。キレイ事の会社説明に予定調和の応答、そんなことに1日数時間が費やされる。短気なタハラのなかで、マグマがふつふつと煮え立ってきた。

 

そんなある日、タハラはカルデラ爆発級の噴火を起こした。採用セミナーで、女性総合職としての自負と気概とは、などといういかにも人事受けをねらった質問を学生から受けたときのことだ。

 

「やってる仕事内容や責任感は以前と全く変わりません。総合職と言っても、男性という白人社会の、まあ、『名誉白人』みたいなもんです。一般職の評価が低すぎるんですよ」。

タハラは採用関係イベントには二度と呼ばれなくなったそうな。

 

その後、バブルが崩壊し日本経済は下降の一途をたどるなか、タハラは結婚することになった。もちろん仕事は続けるが、と年の近い上司に告げたとき、こう言われたらしい。

 

「なあ、本音で聞かせてほしいんやけど。俺やったら、相手が養ってくれるんやったらすぐに会社やめるんやけどな」。1回目は笑ってやり過ごしたが、そんなやりとりが数回続いた結果、また小噴火が起こった。

 

「でも、一生安泰で連れ添ってくれるとは限りませんよ。相手から放り出されるリスクがありますからね」。

その上司はバツイチだった。KYな者、汝の名はタハラなり。1週間ぐらい、上司は口を利いてくれなかったらしい。

 

タハラはその後、紆余曲折を経て会社を辞めた。あいかわらず不器用に生きているが、細々と仕事は続け、連れ合いからも放り出されず、幸せに暮らしているとさ。めでたしめでたし 

 

 

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