あこがれの占い師

オカルトブームのさなかに子ども時代を過ごしたタハラの将来の夢は、「占い師になること」であった。理想の職業にみえた理由は以下とおりだった。

 

・元手がかからずに開業できそう

・当たらなくても責任を取らなくてよい

・とにかく、ブームである

 

なんとも冷めた小学生である。

 

とにかくスキルを身に付けなきゃいけない、ということで、占星術、トランプ、タロット、手相・人相、易学、など、中学生になるころにはひととおりの本は読んだ。友達を相手に実践も積んだ。ところが、ぜんぜん覚えられない。

 

原因はおそらく、占いの本がどれも大人向けで、難しかったことによる。つい「なぜそうなるのか」と考えてしまう性癖も災いした。人間、納得感なしに丸暗記するのはなかなか苦しいものだ。

 

そのうち、空前のオカルトブームは去り、占い師への夢もあせた。お小遣いをはたいて買った、多くの占いグッズや本が手元に残された。その多くは処分してしまったが、大人になってから、当時のタロットの本を見返して、ハタと気づいたことがあった。

 

お見事なまでに、問題解決のキーワードを踏まえているのだ。

下は、「ケルト十字」というタロット初心者向けの解法である。

 

内部環境(内面)の分析

1 現状

2 原因(障害)

3 顕在意識(相談者が自覚していること)

4 潜在意識(相談者が無自覚であること)

5 過去

6 近未来(1~3カ月後)

外部環境の分析

7 相談者の立場(価値観、思い込み、態度)

8 周辺(周囲の評価、感情)

9 願望(問題解決への期待)

10 結論

 

 

おおっ、個人のお悩み相談はもとより、ビジネスツールとして十分使えそうな優れモノではないか。

 

相談者の問題のありどころを明らかにし(1~3)、背景と見通し踏まえながら(5,6)本人も見えていない「強み、弱み」を可視化する(4)。そして価値観を確認したうえで(7)、周囲の状況を客観視させ(8)、問題解決のゴールを定め(9)、それらしき解を暗示する(10)。

 

1~9まで相談者からうまく聞き出してストーリーにできた時点で、問題はほぼ解決したようなもんである。ちなみに、トヨタの「なぜなぜ5回を繰り返せ」とそっくりなタロットの解法もある。

 

おもえば、五欲から生じる人の悩みの本質は、今も昔も変わらない。これに折り合いをつけるための解決のプロセスも、そうは大きく変化していないのだろう。

 

ただ、占い師の道具は変わった、お香や水晶玉から、ビッグデータとコンピュータへ。クライアントの問題解決を生業にするカウンセラーやコーチ、コンサルは、現代の占い師なのだ。たぶん。知らんけど。