いじめ保険

LC研究所設立前のタハラの前歴は、実は、生命保険会社である。某公営放送の朝ドラの主人公が設立した会社だ。

 

広報畑が長いうえ、ちょうど在席10年でお払い箱になったので(いわゆるマタハラ退職)、保険屋さんらしいことはほとんどしていない。保険料算出の原理ぐらいは説明できるものの、どんな保険商品が世間にあるのか、百花繚乱、見当もつかない。

 

前職の記憶うすれゆく今、仰天の保険を発見した。いじめ保険である。正確に言えば、いじめをはじめとする家族のトラブルに関わる弁護士費用を、カバーするらしい。2019年つまり令和元年5月の発売だ。いじめの認知件数が対前年比112.6%増の61.2万件と、過去最高に跳ね上がった年である。

 

2020年度資料しか手元にないが、小中高学生の数はあわせて1260万人ほど。ということは、こどもの20人に1名ぐらいは、いじめのターゲットになっているということになる。残念ながら、ニーズとしては十分にありそうだ。

 

なんともはや、背筋が凍る話しだが、考えてみればあたりまえかもしれない。こどもの世界は、大人世界の縮図だからだ。

 

みわたせば、コロナ禍で正義を振りかざし、他府県ナンバーを取り締まる自粛警察、医療従事者を誹謗中傷する輩。TVをつければ、チームメイトに暴力をふるい移籍させられたスポーツ選手が、日を待たずに公式試合に出場している。国民栄誉賞を受けたOBが、それを激ボメするというポンコツな美談までつく。

 

イジメ礼賛を公然とみせつけて「いじめはよくない」と、大人のどの口が言うのか。ダメだこりゃ(故・いかりや長介風に)である。

 

※補足

2019年のいじめ認知件数の爆上がり原因は、おそらく、その3年ほど前に施行された『いじめ防止対策推進法』が、全国的に実行フェーズに入り、元来「なかったこと」にされていた案件があらわになったことが大きいと考えている。必ずしも、いじめ件数が爆上がりしたというわけではないと思いたい