パンツ一丁、拳銃一丁、豆腐一丁

「ロシア語のあいさつ教えて」とたのまれ、ドキリとすることがある。ロシア語専攻とはいえ、怠慢な学生であったうえに、習ったのが四半世紀以上前だ。ありがとうは「スパイシーだ」、いいね!は「辛(から)そう」、こんにちはを「ズロース一丁(いっちょう)」などと伝え、お茶を濁している。

 

ズロース一丁、パンツ一丁、拳銃一丁、豆腐一丁。「丁」については、むかしから疑問がある。この助数詞が使われる原理原則が、いまだにわからないのだ。

 

精選版 日本語大辞典によると、丁(挺・梃)は

①鋤(すき)・銃・艪(ろ)など、細長い器具の類を数えるのに用いる

②駕籠や人力車など、乗り物を数えるのに用いる

③ 酒や樽を数えるのに用いる

この定義になんとかあてはまるのは、上にあげたもののうち、拳銃(銃)だけではないだろうか。

 

日本語上級学習者から、丁を使うケースについて質問を受けたことがある。「わからん。とにかく、パンイチ男が右手に拳銃、左手に豆腐を持っている姿をイメージし、暗記せよ」と教えた。が、彼女は首をかしげて「ラーメンは?」。

 

たしかに「へい、ラーメン一丁(いっちょう)!」は日常語だ。一本とられた(一丁ではない)。

 

ちなみに、「本」は細長い無生物をかぞえるらしい。ではカツオの一本釣りは?虫歯3本は?

ますます助数詞の深みにはまっていく。

 

*参考:助数詞「本」のカテゴリー化をめぐる一考察 (濱野・李2005?)