21世紀・ドイツの教会税事情

世間では宗教と政治との問題でかまびすしいが、日本ほど、宗教・思想にユルイ国はないとおもっている。入国審査でうっかり「無宗教」なんて書くと、門前払いになる国もあるのが、世界の常識である。

 

いきおい、ほとんどの日本国籍者は、外国旅行や居住のさい、なんらかの宗教名をむりやり書く羽目になる。(どこだったか「共産主義(Communist)」がチェックリストにあって、笑ってしまった。それ、宗教か?)。ヨーロッパ方面で無難なのは、仏教徒(Buddhst)ではないだろうか。ほとんどスルーしてくれる。

 

ところが、郷に入っては郷に従えとばかり、「カトリック教徒」などと住民登録すると、税金をガッポリとられる国がある。その名はドイツ。所得税の8%だか10%らしいから、消費税以上の金額を支払う羽目になろう。

 

ドイツはプロテスタント発祥の国として有名だが、南部はカトリック信徒が多い。かの有名なルードヴィヒ狂王やオーストリア皇妃となったエリザーベトも、そう。観光地が集中する南部バイエルン州で、壮麗なカトリック教会を目にすることが多いのは、そのせいだ。

 

ところが、カネを支払いたくないのは、人の常。若者を中心に教会ばなれがつづいている。そのため、数年前「税金未払い者に対する、クリスマス参列、教会挙式禁止令」が出たらしい。たしかに、王侯貴族の庇護がない今、政府が教会税を代行収納してくれないと、建物の維持すらむずかしい。

 

だれが、宗教を支えるためのカネを払うのか?その存続に、どこまで政府が力を貸すのか?宗教と政治とカネの問題に、頭を悩ませるのは、どこの国も同じである。