3・3・7拍子と3拍子

「日本人は農耕民族だから、馬の駆け足をベースにした'3拍子'が苦手だ」はホントか?

 

駆け足とは「ばからっ、ぱからっ」といった、3拍子を体感させるリズムだ。が、いかに農耕に使う日本の在来馬が小柄とはいえ、洋の東西を問わず、走りのリズムは同じはず。

 

また、日本は世界に冠たるサムライの国。馬をゆるされたのは200石扶持以上(年収1500万~ぐらい?)といえども、乗馬人口としてはヨーロッパよりも多いのではないか??

 

そして何より「3・3・7拍子」がある。応援や宴会などのハレの場に欠かせないこのリズムは、3拍子だ!

 

…とおもっていたら、最後のはちがっていた。3・3・7のうしろに、いわゆるウラ拍が、1拍隠れていた。

 

では、検証。みなさんお手を拝借。ハイ!

「チャ、チャ、チャ、(ウン)。チャ、チャ、チャ、(ウン)。チャ、チャ、チャ、チャ、チャ、チャ、チャ、(ウン)」。

 

そうです、リズムとしては4拍子。音がない部分が、しっかり音として成立しているのが、おもしろい。かのベートーヴェンの『運命』でも、うまくそれが使われている。

 

クイズ。この曲の超有名な冒頭「じゃじゃじゃじゃ~ん」の最初の音は?

 

耳のいい人なら「ソ」だろう。たしかにドレミファでいえば「ソソソミ~」。だが、正解は…八分休符。最初の音が、半拍分ない。だから「(ん)じゃじゃじゃじゃ~ん」が、正しいリズムだ。

 

聞こえない音が、聞こえる音に存在感を与える「間」。これは音楽だけでなく、トーク、文学、絵画。どのジャンルでもたいせつであるような気がする。 

 

 

ベートーヴェン『運命』 聴き比べ