「いつ(When)」「どこで(Where)」「だれと(Who)」「こんな目的で(WHY)」「何をした(What)」「どのように(How )」「いくら(How Much)」の頭文字をとって「5W2H」。
「5W2Hを報告の骨格とせよ」は、社会人ならば耳にタコができるほど聞いておられよう。情報伝達の基本だ。当方のセミナーでも、口をすっぱくしてお伝えしている。
私自身、仕事でもプライベートでも、この基本に助けられた体験は数知れない。なかでも、サギ師を見抜けたことは、記憶に新しい。
その人物は、数々の著名人とのコラボレーションにより、とある実績をあげたとして人気を集めていた。「だれと(Who)」「何をした(What)」「どのように(How )」で自分の仕事ぶりを豊かに描き、「ビジョン(≒WHY)」にふれ言葉たくみに信用を勝ちとる。
ただし、実績アピールのうち「いつ(When)」「どこで(Where)」が、極端に乏しい点が、どうも気持ち悪かった。ついつい、気になって質問した。
すると「おもしろいことが気になるのね~、仕事柄、インタビューが多いからかな。さすがタハラさん!」と明るく高笑いされた。その場に居合わせた人たちも、どっと笑った。
こちらは笑えなかった。もともと、愛想笑いが苦手なたちである。第一、相手の目が笑っていなかった。こうやって話をそらしにかかるときは、中身を大きく盛っているか、そもそも本当でないことがほとんどだ。悪気なく、自分の作り話を信じ込んでいるときもあるが。
いずれの場合にしろ「いつ」「どこで」を聞きこんでいくと、たいていはつじつまが合わなくなってくる。そして、しどろもどろになるか、怒り出す。
そのときは、後者の反応だった。このできごとをきっかけに、そのサギ師とはめでたく縁が切れた。あやうく難をのがれた。
さて、自戒を込めて。ほかの体験もあわせ「だまされない」ための教訓を、3つならべたい。おいしいもうけ話を聞いたり、あやしげな宗教に勧誘されたりしたときは、ぜひおもいだしてほしい。
1 自分の心が不安や怒り、欲で曇っているときは、だまされやすい
2 「いつ(When)」「どこで(Where)」が乏しい情報は、信用できないことが多い
3 オチが「How Much(いくら)」に落ち着く話は、たいていサギである