恋のさしすせそ

不覚であった。恋のさしすせそなる言葉が世間に流布しているのを、つい最近知った。Google検索では2.3万件表示されているから、ずいぶん前から使われているのだろう。「さしすせそ女子」なる言葉も定着しているようだ。

 

ひとことでいえば、これは合コンなどで、初対面の人(男性)に好感を与えるとされる、女子用のあいづちの言葉である。中身やいかに。

 

「さ」=「さすがですね!」、「し」=「知らなかった!」、「す」=「すごい!」、「せ」=「センスいい!」、「そ」=「そうなんですか!」

 

これらを、感情をこめて、表情豊かに言うといいらしい。

 

つまりは、相手をおだて持ち上げることによって、好意を得ようという戦略だ。知識や経験において、聞き手は相手より劣っているというスタンスを明確に打ち出す。謙譲語と同じ発想ともいえるが、自分には決してマネができないような気がする。

 

では、モテ女子がすなる「さしすせそ」といふものを、タハラもしてみむとてするなり。どうなるか?

 

「さ」=「さあ」、「し」=「知らんわ」、「す」=「すんません」、「せ」=「説教すな」、「そ」=「それで?」

 

気持ちは急速冷凍、相手は目の前から早々に立ち去るに違いない。