最近、研修中の受講生のふるまいで、気になることがある。といっても受講態度のことではない。体の使い方だ。
「20-30代なのに、歩いているときに足裏が見えない」。この問題をまず挙げたい。
つまり、床を蹴らずに、まるでスリッパをつま先にひっかけているような感じで、すり足で平行移動する。そして両肩をいからせ上半身を固定させることによって、全身のバランスをとっている。
そう、まさに高齢者の歩き方である。
年齢が上がるとともに、足裏が見える歩き方をする人の割合は低くなる。学生が多く乗り降りする駅で、行き交う人を見ていたときに気づいた。一般的に、地面を蹴る力は年齢と逆比例する。ということは、若い層の脚力が衰えているのか。
次に「40代にもなると首と肩と腕ががっつり固まって一体化する」問題も指摘しておこう。
一日研修では気分転換と称して、午後の休み時間に必ずストレッチ体操をしている。ところが、働き盛りの年代、特に男性は次のような動作ができない傾向がある。もしや自分も、と思われる方はぜひ試していただきたい。
1 座ったまま、まっすぐ片手を上に伸ばす。手は耳のま横を通る形で、手のひらを体側に向けること
できれば、鏡で自分の姿を横からチェックしてほしい。手が前方に傾いていないか、傾いた手に上半身を合わせていないか、がチェックポイントだ
2 その姿勢を保ったまま、体側に向けていた手のひらを、親指からくるりと外側に向ける
上級管理職対象の研修では、1はなんとかなっても、2の動作ができない方が大半だ。でも、体を傾けて耳側にもっていく人、首をかしげてつじつまを合わせようする人、その懸命さがいじらしい。
そんなときは脇後ろの背中の肉をちょっとほぐしてもらう。すると、耳と腕の距離が縮まる。ちなみに、すり足現象を見た研修のストレッチタイムは、かかとを浮かせたままでの足首の曲げ伸ばし。2つとも好評で、感想欄に「ストレッチがとても楽しかった」とわざわざ書いてくれた方もいた。
研修メニューは「ロジカル・ライティング」。「ストレッチもとても楽しかった」と書いてほしかった講師のタハラであった。