シナリオ・プランニングとは「将来起こり得る未来のシナリオを複数描き、それに基づいて戦略を導出していく手法のこと」である。近年では戦略的思考法の一つとして各方面に定着した感がある。
実は当研究所でもシナリオ・プランニング研修を裏メニューとして持っている。ファシリテーションを中心に、模造紙だのを囲んでみんなワイガヤする研修なので、コロナ禍の今は休眠中である。(巷ではオンライン研修でも開催)
ただ、そうしたワイガヤ手法を取らなくても、ひとりでも未来に思いをはせることはできる。
作文を書けばよい。
そもそも文章を書く目的は、「自分の考えを他人に知ってもらうこと」である。となると、例えば『●年後の日本』だと、●年後の日本に対する自分のイメージを、形(言葉)にしなければならない。言葉にするには、自分なりにいくつかの●年後像を具体的に描いておく必要がある。そのためには、予測データを見ながら、「いま」の行く末をしっかり観察することを迫られる。
つまり作文とは、ひとり脳内シュミレーションの発表の場なのだ。
これをシナリオ・プランニングに応用=ひとりひとりのシュミレーションを複数のシナリオに収束させるとすると…例えば、組織内で『●年後の日本』などといった統一テーマで作文を書く。その後、メンバーで話し合いをしながら言葉に(図式化)し、共通イメージを描いていく。こうすれば、未来に対する組織の共通認識を作ることができる、かな?
これならオンラインでもできそうなので、新・研修メニューとして導入を検討してみよう。
*参考 キリンホールディングスHP
シナリオプランニング 4つのシナリオ
『政府が問題を起こし、マスコミがネタにし始めると芸能人が逮捕される』の真偽を検証する明子。一徹の指導を受けながら、第2次安倍内閣(2012年11月20日~2019年11月19日)の「政界スキャンダル」「芸能人タイホ」の相関・因果関係を洗い出しはじめたが…
一徹:どうじゃ、明子。「政界スキャンダル」と「芸能人タイホ」の発生時期と内容は?
明子:ええ。あの…
一徹:よいか。以前に教えたとおり、2つの事柄の相関関係に因果(原因ー結果)関係があるかないかを判断するときには、次に注意するのじゃ
1 関連の時間性:原因は結果の前にあるか
2 関連の密接性:原因が結果に密接に関連するか
3 関連の特異性:原因が結果にどの程度かかわっているか
そして4の関連の普遍性じゃが…
明子:お父さん、それがね…
一徹:なんじゃ?
明子:ちょっとこの表を見て!
明子:おほほ、Twitterで『政府が問題を起こし、マスコミがネタにし始めると芸能人が逮捕される。次期逮捕予定者リストがあって、誰かがゴーサイン出してるでしょ』ですって
一徹:明子よ、あながち荒唐無稽ともいえんぞ。ホリエモンという男なんぞも『頭に頭にウジ湧いてんな笑笑』と嗤(わら)っておったが
明子:まあ、そうなの?
一徹:1969年、FIFAワールドカップ南米大会予選、ホンジュラス⁻エルサルバドル戦でのことじゃ。サポーター達の衝突を政府があおり、両国は戦闘状態に入った。双方、インフレや政府高官の不正など、政府への不満がくすぶっておったからの
明子:国内の不満をそらせるためにサッカーを戦争の口実に使ったの!?
一徹:と、言われておる。また90年代の東欧ではテレビ局と結託して、対抗する政党の政見放送中に、人気番組をウラ番組として流しておった。マスコミを使った選挙妨害じゃな
明子:そうやって、なりふりかまわず政権を保とうとすることが、現実にあったのね
明子:今の「政界スキャンダルが起きると芸能人がタイホされる」はどうかしら?これが本当かどうか論理的に確かめるためには、前回の宝くじの話のように確率を使えばいいの?
一徹:確率ではない、「相関関係」じゃ。2つの事柄(変数)がどれぐらい強く関係しているかをみるための、ものさし(尺度)のことよ
明子:そうだったわ。この場合「政界スキャンダルが起こる」たびに「芸能人がタイホされる」ケースが多ければ多いほど、相関関係が強いんだったわね。
一徹:さすが、わしの娘よ。相関関係があるからと言って、因果関係がある、すなわち「政界スキャンダルが起こる」が「芸能人がタイホされる」の原因になっているとは限らんのじゃが。逆に言えば、相関関係が無い場合は、因果関係もないと考えてよかろうて
明子:わかったわ、お父さん。まず相関があるかどうか考えてみましょうよ!
一徹:まずは、第2次安倍内閣(2012年11月20日~2019年11月19日)の「政界スキャンダル」「芸能人タイホ」を洗い出すがよい!
明子:2つともレベル感が難しいわね。「芸能人」にしても逮捕されてはじめて名前を知ったような人もいるし…
一徹:明子が何か選出の基準を持てばよい。キー局でレギュラー番組を持っているとか、ご近所10人が必ず知っているとか。「政界スキャンダル」は支持率に影響しそうな、という主観からじゃな。2015年夏の安保法案、2017年2月~翌年秋ごろのモリカケ問題、そして今の花見問題ははずせんじゃろう
明子:そうね。そう考えると事件(データ)の数は少ないのかしら…難しそうだけど、調べてみるわ
明子:お父さん、今日は珍しいものを買ったの。
一徹:なんじゃな?
明子:うふっ、宝くじよ、秋のビッグチャンスくじ。1枚2百円だけど一等は3千万なの。年末ジャンボくじに比べて当選確率が高いらしいわ。飛雄馬にも新しいグラブを買ってやれるかしら。
一徹:全部で何本売り出すのかな?
明子:確か300万枚だったかしら、1等前後賞がそれぞれ1千万円、1等組違い賞10万円が29本、2等30万円が90本、3等5千円が6,000本、4等1千円が3万本、5等30万本でも買った金額分の2百円がもらえるわ。それと、実りの秋賞が10万円が600本なの。
一徹:ふん、わが娘でも女とは話せんわい。そんなくだらんことでムダ金を使うとはな!
明子:まあ、ムダ金ですって?
一徹:当たり前よ。1等3千万円の当選確率は0.00003%、前後賞でも0.00006%じゃ。
明子:確かに小さな数値だけど、そんなに低い確率なの?
一徹:まさに天文学的よ。日本国内で交通事故で死ぬ確率は最近では0.003%前後。つまり、1等当選確率の100倍近くじゃ。
明子:まさか!
一徹:そもそも、宝くじ金額の払戻率は、50%以下と法律で決まっておる。80%以下とされておる競馬や競輪よりはずっと低い。
明子:なんてことかしら…。
一徹:明子よ、それぞれの賞の当選確率に賞金を掛けた和、期待値は87円。つまり払い戻し率は43.5%、これを見るだけですぐわかるじゃろう。ものを買うときには計算ぐらいせんか!
明子:お父さん、確率の計算を習うのは中学生以上なの。あたしはお母さん代わりにずっと家事をしてきたから、学校もろくに行っていないのよ。
明子、うつむく。一徹、にじむ涙を見られまいと天井をにらむ。
週末、ディベートの審判員をさせていただいた。(前々回物議をかもした『させていただく』だが、審議会答申に照らせば今回に限り適切かと)。その時おもったのは、「カウンセリングもコーチングもファシリテーションもじったものの、やっぱりわたしにゃディベートが一番」ということだった。
なぜか。ひとつめは、聴く時間としゃべる時間が担保されているからだ。カウンセリングだと特に初期段階では「それはおつらい体験だったでしょう」「無理もないですね」など、基本的に自分のセリフはあいづちのみ。根がおしゃべりな人間にとっては結構つらい。
ふたつめは、スピード感。相手の論点を追いかけ、頭をフル回転させて、チームでタッグを組んで論題に添ったカウンターコメントを考える。ハンパなく聴く力が要求される。
最後は、建設的であること。ディベートでは点数のほか、いかに論題の検証に貢献したかが俯瞰的に評価される。相手の揚げ足取りに終始すれば、点数という勝負には勝っても試合に負けてしまう。
しかしディベートは、ひところに比べて盛んではなくなったという。なぜか。確かに準備には手間がかかる。人数もそろえなきゃならない。
が、最大の理由はおそらく「討論」=真っ向から相手方とサシで勝負するというイメージが好まれないからに違いない。それが最近の、「共感」だの「絆」だのヨコのつながり大好き、白黒つけるの苦手、の風潮からは時代遅れに見えるのだろう。いやいや、どちらがより聴衆の支持、つまり共感を得られるかという勝負なのだが。もったいない話だ。
シナリオ・プランニングとは「将来起こり得る未来のシナリオを複数描き、それに基づいて戦略を導出していく手法のこと」である。近年では戦略的思考法の一つとして各方面に定着した感がある。
実は当研究所でもシナリオ・プランニング研修を裏メニューとして持っている。ファシリテーションを中心に、模造紙だのを囲んでみんなワイガヤする研修なので、コロナ禍の今は休眠中である。(巷ではオンライン研修でも開催)
ただ、そうしたワイガヤ手法を取らなくても、ひとりでも未来に思いをはせることはできる。
作文を書けばよい。
そもそも文章を書く目的は、「自分の考えを他人に知ってもらうこと」である。となると、例えば『●年後の日本』だと、●年後の日本に対する自分のイメージを、形(言葉)にしなければならない。言葉にするには、自分なりにいくつかの●年後像を具体的に描いておく必要がある。そのためには、予測データを見ながら、「いま」の行く末をしっかり観察することを迫られる。
つまり作文とは、ひとり脳内シュミレーションの発表の場なのだ。
これをシナリオ・プランニングに応用=ひとりひとりのシュミレーションを複数のシナリオに収束させるとすると…例えば、組織内で『●年後の日本』などといった統一テーマで作文を書く。その後、メンバーで話し合いをしながら言葉に(図式化)し、共通イメージを描いていく。こうすれば、未来に対する組織の共通認識を作ることができる、かな?
これならオンラインでもできそうなので、新・研修メニューとして導入を検討してみよう。
*参考 キリンホールディングスHP
シナリオプランニング 4つのシナリオ
『政府が問題を起こし、マスコミがネタにし始めると芸能人が逮捕される』の真偽を検証する明子。一徹の指導を受けながら、第2次安倍内閣(2012年11月20日~2019年11月19日)の「政界スキャンダル」「芸能人タイホ」の相関・因果関係を洗い出しはじめたが…
一徹:どうじゃ、明子。「政界スキャンダル」と「芸能人タイホ」の発生時期と内容は?
明子:ええ。あの…
一徹:よいか。以前に教えたとおり、2つの事柄の相関関係に因果(原因ー結果)関係があるかないかを判断するときには、次に注意するのじゃ
1 関連の時間性:原因は結果の前にあるか
2 関連の密接性:原因が結果に密接に関連するか
3 関連の特異性:原因が結果にどの程度かかわっているか
そして4の関連の普遍性じゃが…
明子:お父さん、それがね…
一徹:なんじゃ?
明子:ちょっとこの表を見て!
一徹:原因→結果の順になっているのは今月の花見事件ぐらいか。あとは発生ー発覚ー報道までのタイムラグを考えても、時期が数か月以上ずれておる
明子:これだと、さっきお父さんが言いかけた4「対象や時期などが異なっていても、類似した結果が得られるか」にあてはまらない。つまり因果関係が見られないってことね
一徹:ただ、逮捕者リストにもとづいて最大効果を上げるよう綿密な準備をしておれば、政界スキャンダル発覚に先んじてタイホする手法もとれる。この理屈なら、結果と原因が前後しても因果関係が成立するぞ
明子:それはどうかしら。そんなリストと危機マニュアルを作成して、ちゃんと保管している可能性は低いような気がするわ。公文書は改ざん、招待客の明細書はすぐ廃棄、前夜祭の領収書すら作らない人たちですもの…
ーこの巻おわり
参考URL:NHK政治マガジン『安倍政権は、なぜ続くのか』
明子:おほほ、Twitterで『政府が問題を起こし、マスコミがネタにし始めると芸能人が逮捕される。次期逮捕予定者リストがあって、誰かがゴーサイン出してるでしょ』ですって
一徹:明子よ、あながち荒唐無稽ともいえんぞ。ホリエモンという男なんぞも『頭に頭にウジ湧いてんな笑笑』と嗤(わら)っておったが
明子:まあ、そうなの?
一徹:1969年、FIFAワールドカップ南米大会予選、ホンジュラス⁻エルサルバドル戦でのことじゃ。サポーター達の衝突を政府があおり、両国は戦闘状態に入った。双方、インフレや政府高官の不正など、政府への不満がくすぶっておったからの
明子:国内の不満をそらせるためにサッカーを戦争の口実に使ったの!?
一徹:と、言われておる。また90年代の東欧ではテレビ局と結託して、対抗する政党の政見放送中に、人気番組をウラ番組として流しておった。マスコミを使った選挙妨害じゃな
明子:そうやって、なりふりかまわず政権を保とうとすることが、現実にあったのね
明子:今の「政界スキャンダルが起きると芸能人がタイホされる」はどうかしら?これが本当かどうか論理的に確かめるためには、前回の宝くじの話のように確率を使えばいいの?
一徹:確率ではない、「相関関係」じゃ。2つの事柄(変数)がどれぐらい強く関係しているかをみるための、ものさし(尺度)のことよ
明子:そうだったわ。この場合「政界スキャンダルが起こる」たびに「芸能人がタイホされる」ケースが多ければ多いほど、相関関係が強いんだったわね。
一徹:さすが、わしの娘よ。相関関係があるからと言って、因果関係がある、すなわち「政界スキャンダルが起こる」が「芸能人がタイホされる」の原因になっているとは限らんのじゃが。逆に言えば、相関関係が無い場合は、因果関係もないと考えてよかろうて
明子:わかったわ、お父さん。まず相関があるかどうか考えてみましょうよ!
一徹:まずは、第2次安倍内閣(2012年11月20日~2019年11月19日)の「政界スキャンダル」「芸能人タイホ」を洗い出すがよい!
明子:2つともレベル感が難しいわね。「芸能人」にしても逮捕されてはじめて名前を知ったような人もいるし…
一徹:明子が何か選出の基準を持てばよい。キー局でレギュラー番組を持っているとか、ご近所10人が必ず知っているとか。「政界スキャンダル」は支持率に影響しそうな、という主観からじゃな。2015年夏の安保法案、2017年2月~翌年秋ごろのモリカケ問題、そして今の花見問題ははずせんじゃろう
明子:そうね。そう考えると事件(データ)の数は少ないのかしら…難しそうだけど、調べてみるわ
明子:お父さん、今日は珍しいものを買ったの。
一徹:なんじゃな?
明子:うふっ、宝くじよ、秋のビッグチャンスくじ。1枚2百円だけど一等は3千万なの。年末ジャンボくじに比べて当選確率が高いらしいわ。飛雄馬にも新しいグラブを買ってやれるかしら。
一徹:全部で何本売り出すのかな?
明子:確か300万枚だったかしら、1等前後賞がそれぞれ1千万円、1等組違い賞10万円が29本、2等30万円が90本、3等5千円が6,000本、4等1千円が3万本、5等30万本でも買った金額分の2百円がもらえるわ。それと、実りの秋賞が10万円が600本なの。
一徹:ふん、わが娘でも女とは話せんわい。そんなくだらんことでムダ金を使うとはな!
明子:まあ、ムダ金ですって?
一徹:当たり前よ。1等3千万円の当選確率は0.00003%、前後賞でも0.00006%じゃ。
明子:確かに小さな数値だけど、そんなに低い確率なの?
一徹:まさに天文学的よ。日本国内で交通事故で死ぬ確率は最近では0.003%前後。つまり、1等当選確率の100倍近くじゃ。
明子:まさか!
一徹:そもそも、宝くじ金額の払戻率は、50%以下と法律で決まっておる。80%以下とされておる競馬や競輪よりはずっと低い。
明子:なんてことかしら…。
一徹:明子よ、それぞれの賞の当選確率に賞金を掛けた和、期待値は87円。つまり払い戻し率は43.5%、これを見るだけですぐわかるじゃろう。ものを買うときには計算ぐらいせんか!
明子:お父さん、確率の計算を習うのは中学生以上なの。あたしはお母さん代わりにずっと家事をしてきたから、学校もろくに行っていないのよ。
明子、うつむく。一徹、にじむ涙を見られまいと天井をにらむ。
週末、ディベートの審判員をさせていただいた。(前々回物議をかもした『させていただく』だが、審議会答申に照らせば今回に限り適切かと)。その時おもったのは、「カウンセリングもコーチングもファシリテーションもじったものの、やっぱりわたしにゃディベートが一番」ということだった。
なぜか。ひとつめは、聴く時間としゃべる時間が担保されているからだ。カウンセリングだと特に初期段階では「それはおつらい体験だったでしょう」「無理もないですね」など、基本的に自分のセリフはあいづちのみ。根がおしゃべりな人間にとっては結構つらい。
ふたつめは、スピード感。相手の論点を追いかけ、頭をフル回転させて、チームでタッグを組んで論題に添ったカウンターコメントを考える。ハンパなく聴く力が要求される。
最後は、建設的であること。ディベートでは点数のほか、いかに論題の検証に貢献したかが俯瞰的に評価される。相手の揚げ足取りに終始すれば、点数という勝負には勝っても試合に負けてしまう。
しかしディベートは、ひところに比べて盛んではなくなったという。なぜか。確かに準備には手間がかかる。人数もそろえなきゃならない。
が、最大の理由はおそらく「討論」=真っ向から相手方とサシで勝負するというイメージが好まれないからに違いない。それが最近の、「共感」だの「絆」だのヨコのつながり大好き、白黒つけるの苦手、の風潮からは時代遅れに見えるのだろう。いやいや、どちらがより聴衆の支持、つまり共感を得られるかという勝負なのだが。もったいない話だ。
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